Flash Playerの整数アンダーフローの脆弱性により、任意のコードが実行される脆弱性(CVE-2014-0497)に関する検証レポート
【概要】
アドビシステムズ社の Flash Playerに、リモートより任意のコードが実行される脆弱性(CVE-2014-0497)が発見されました。この脆弱性は、細工された.swfファイルの処理に不備が存在するため、整数アンダーフローの問題が発生することにより起こります。これにより、攻撃者はアプリケーションを異常終了させたり、任意のコードをメモリへ上書きし、実行させることが可能となります。
攻撃者は、細工されたWebサイトを利用者に訪問させることにより、リモートからブラウザを実行する利用者のユーザ権限で任意のコードを実行できる危険性があります。
また、攻撃対象者をブラウザ経由で細工されたWebサイトにユーザを誘導することや、細工されたWebサイトへのリンクを添付した電子メールを送信し、攻撃対象ユーザにファイルを開かせることで、ログオンしているユーザと同じ権限を、攻撃者に奪取される危険性があります。
過去、細工した.swfファイルを埋め込んだMicrosoft Wordファイル(.docxファイル)を送信するといった標的型攻撃も報告されています。
今回、この脆弱性(CVE-2014-0497)の再現性について検証を行いました。
【影響を受ける可能性があるシステム】
■Windows版およびMacintosh版
– Adobe Flash Player 12.0.0.43 およびそれ以前のバージョン
– Adobe Flash Player 11.7.700.260 およびそれ以前のバージョン
■Linux版
– Adobe Flash Player 11.2.202.335 およびそれ以前のバージョン
【対策案】
アドビシステムズ社より、この脆弱性を修正するプログラムがリリースされています。
当該脆弱性の修正を含む最新のバージョンを適用していただくことを推奨いたします。
以下のサイトにて、現在使用しているFlash Playerのバージョンが確認できます。(現時点での最新リリースバージョンの確認もできます)
– Flash Player の状況確認
Flash Player本体のダウンロードは以下のサイトになります。
– FlashPlayerのダウンロード
*GoogleChromeの場合は、Flash Playerの機能がブラウザに統合されているため、Chrome自体のアップデートを行う必要があります。
– Google Chromeを更新する
*Windows 8、Windows Server 2012、Windows RT、Windows 8.1、Windows Server 2012 R2 および Windows RT 8.1 上の Internet Explorer 10または、11の場合は、Flash Playerの機能がブラウザに統合されているため、InternetExplorer自体のアップデートを行う必要があります。
– マイクロソフト セキュリティ アドバイザリ (2755801)
*一つのシステム上で複数のブラウザを使用し、それぞれFlash Playerをインストールしている場合、ブラウザ毎にFlash Playerのバージョンを確認・対策する必要があります。
【参考サイト】
CVE-2014-0497
NVD – Detail
Adobe Flash Player の脆弱性対策について(APSB14-04)(CVE-2014-0497):IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
JVNDB-2014-001313 – JVN iPedia – 脆弱性対策情報データベース
Adobeセキュリティ情報
【検証ターゲットシステム】
Windows 7 SP1日本語版 + Internet Explorer 10 + Flash Player 11.7.700.202
【検証概要】
脆弱性の存在するターゲットPCより、攻撃者が作成した細工された応答を返すサーバにアクセスすることで脆弱性を利用した攻撃を行い、任意のサーバの任意のポートにコネクトバックさせ、結果、シェルを奪取するというものです。
これにより、リモートからターゲットPCの操作が可能となります。
【検証結果】
下図は、攻撃後の誘導先のコンピュータ(MacOS X)の画面です。黄線で囲まれている部分は、誘導先のコンピュータのホスト情報です。一方、赤線で囲まれている部分は、ターゲットPC(Windows 7)において、コマンドを実行した結果が表示されています。
reported by nao323, ntsuji